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校長メッセージ

聖ドミニコ学院小学校
校長

土井 智子

聖ドミニコ学院小学校 校長 土井 智子

恩師参観 2024年2月

1月中旬に恩師参観を開催しました。恩師参観とは、30年以上前から本校で実施されている行事で、在校生が卒園した幼稚園やこども園、保育所、保育園の先生方に、子供たちの成長した様子を見ていただく会です。子供たちの授業参観と、卒園生のスピーチで構成されている、1時間半程度の本当に短い時間の行事です。この行事に参加されるために、恩師の方々は忙しい保育時間を調整して参加してくださいます。それがどんなに大変な事か、日々学校で子供と接する時間を過ごしているのでよくわかります。成長した子供たちの姿を見たいという、先生方の熱い思いに頭が下がります。

子供たちは、恩師参観の当日は朝から何となくそわそわしています。児童会の役員が「気持ちの良い挨拶をしましょう。」と放送朝礼で呼びかけた言葉に、元気に「はい」と返事している姿からも子供たちがこの行事を楽しみにしていることがわかります。昼の清掃が終わり、いよいよ恩師の先生が訪れる時間が近付いてくると、特に低学年の子供たちの興奮が高まっていきます。その興奮を、授業での積極的な姿勢につなげようと、担任教師は着替えや身の回りの整理整頓など活動を取り入れながら、するべきことをきちんとするように声掛けていました。授業で元気に発言をしたり、友達の考えに共感して「いいです」と声を合わせたり、前に出て説明したりと活発な姿を見せた子供たちを、先生方は笑顔で参観されていました。授業が終わると、スピーチをするために子供たちは聖堂に向かいました。久しぶりに会う先生に成長した姿を見せようと張り切っていることが、参観されていた先生方に伝わっていたのでしょう。スピーチで各自が今挑戦していることや、がんばっていること、楽しいこと、これからの目標などを発表している姿に、恩師の方々はうなずいたり、微笑んだりと、とてもやさしい表情を浮かべていました。一人ひとりの成長を心から喜んでいる姿がありました。

 

先生方に会えて素直に喜びを表現しているこの子供たちが、やがて思春期を迎え、反抗的な態度をとるようになるのでしょう。あるいは、学校で見せる姿と家庭で見せる姿とでは別な姿を見せる時期に入った子供たちもいるでしょう。成長するということは、自分に対する不安を抱え持つことにもつながります。周りとの比較に苦しんだり、自分自身のふがいなさに苛立ったり、環境は変えられないと思い込んだり、様々な悩みは成長と共に訪れます。視野が狭くなり、今悩んでいることに押しつぶされそうな感覚さえ持ってしまうこともあります。自分がとても大切にされていることを忘れ、自分勝手な行動に走ってしまうこともあります。「誰の助けもいらない、自分は自分の力で生きている。」という傲慢ともいえる考えを持ってしまうのも反抗期の特徴と言えるでしょう。そうした時期が必ずといっていいほど訪れるからこそ、自分のことを忘れず気にかけている存在がたくさんあるということを実感させたいと思います。自分の成長を喜んでいる人が身近にこんなにたくさんいるということ、見守ってもらえているということを実感してほしいと考えています。そしてそうしたことに気付き、感謝の気持ちを表現することが、自分が大切な存在であることへの気付き、自己肯定感につながっていくのだと思います。

恩師参観は、恩師の方々に感謝の気持ちを伝える行事であると共に、自分自身がとても大切にされていることを実感できる行事ともいえるのです。

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