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校長メッセージ

聖ドミニコ学院小学校
校長

土井 智子

聖ドミニコ学院小学校 校長 土井 智子

待降節:アドベント (Advent) 2021年12月

ある朝、放送朝礼が始まるまでの時間に、ぼんやりカレンダーを見ながら「1週間が過ぎるのが早いなあ。」とつぶやいていると、隣にいた子供が「本当ですね。あっという間に1週間が過ぎますね。」と応じるではありませんか。小学生の口から時間が過ぎるのが早いと聞いて、若干の驚きを交えながら「小学生でも、時間が経つのが早いと感じることあるの?」と聞くと「早いですよ、あっという間に時間が過ぎている感じです。1カ月たつのも早いし…」と答えました。

人間の体感時間について「ジュネーの法則」と呼ばれているものがあります。「50歳の人間にとっての10年間は5歳の人間にとっての1年間に当たり、50歳の人間の1日が5歳の人間の10日に当たるほどになる。(ウィキペディアより)」というものです。小学生時代の体感時間がそれほど短くなっていたら、この子供たちが3040代になった時にはどんな目まぐるしい時間の過ぎ方を感じるのでしょうか。

現代社会では、誰も彼も時間に追われる忙しい生活をおくっています。そしてそれは子供の世界でもいえることです。かつて、子供の1日の生活時間はあきれるほど長く、夕日が空を染めるまで遊ぶ姿が見られました。今、それは望むべくもありません。子供だけで遊ばせることが難しくなるなど、子供をとりまく環境そのものが変わりました。また、ICT機器が生まれた時からある子供たちは、暇を持て余すこともなく、一人遊びに夢中になることができます。刺激的なツールがそろっている中で、子供たちは退屈することがありません。それだけではなく、少し大きくなると学習塾などの教育サービスも充実しているため、子供たちの生活時間はタイトになる傾向にあります。

 

立ち止まって考える時間が大切になってきます。クリスマスを迎えるまでの4週間を、キリスト教では「待降節(たいこうせつ):アドベント (Advent)」とよび、イエス様の御降誕を待ち望む期間としています。救い主がいらっしゃることを待ち望んでいた旧約聖書の時代をなぞります。ドミニコに学ぶ子供たちは、この待降節を迎える前に自分を振り返り、どんな努力が自分に求められているかを考える時を持ちます。それを「努力の捧げもの」とするのですが、この「振り返り」の時間はとても貴重だと私は考えています。「痛む愛の実践」が待降節の重要なキーワードです。自己中心的な考えから離れ、他のために自分の行動を振り返り、自身を律していこうとするのです。例えば、食べ物がなくて苦しんでいる人のことを考え、好き嫌いをしていないか、いろいろな物を欲しがっていないか、我慢は足りているか…と自分自身のことを振り返ります。自身の生活を見つめなおすことで、何が求められているか、どんな努力をしたらいいのかを見つけていきます。

遠くでつながる誰かのことを考えるところに、平和が訪れます。クリスマスが平和の訪れを告げる日となるように、子供たちと共に自分の生活を振り返り、他のために自分に何ができるかを考え実践する待降節にしてまいりましょう。

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