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校長メッセージ

聖ドミニコ学院小学校 校長
土井 智子

聖ドミニコ学院小学校 校長 土井 智子

読書への思い 2021年7月

少し前のことですが、卒業生の保護者からこんなお話を頂いたことがあります。

「今、うちの子は読書感想文の宿題がなかなか終わらなくて、苦労しています。ドミニコではいろいろな経験をさせてもらってきたので、中学に行ってもそんなに困ることはなかったのですが、読書感想文だけは別でした。書いたことがなかったのです。他の子は、小学校時代から夏休みの宿題に出されているようで…」

その保護者の方には、「読書感想文の書き方」という優れた本があるので、それを読んで読書感想文を書きあげるサポートをお勧めしました。そう!ドミニコでは朝の読書を取り入れるなど、子供の読書習慣の確立に力を入れていますが、読書感想文を必須の課題にすることはしていません。読書感想文というジャンルそのものは素晴らしいと考えています。読書を通して作家の思いを受け取り、自分自身の経験に照らし合わせ、自分の内面を見つめ直し、文を紡いでいくことが読書感想文だからです。読書感想文を書くためには、本を繰り返し読み、作者の思いを受けとめていく作業が必要です。夏休み中、その気の遠くなるような取り組みを行い、優れた読書感想文を書きあげてくる子供たちがいます。書き上げた読書感想文を読ませてもらうと、その作品の中で子供が成長していることが伝わってきます。読書感想文に挑戦した子供にいつも心からのエールを送っています。

読書には、いろいろなシチュエーションがあります。解説書を読む時は、方法を知りたい時が多いでしょう。レポートを書くために本を読む時もあります。歴史や地理に興味が出て本を選ぶ時もあります。話題になっている書物が気になって手にすることもあります。必要に応じて気軽に本を手にする習慣がついていれば、自分で考える力がついてきたといえるでしょう。ちょっとした隙間の時間に本を手にする習慣は、人生に豊かさを与えてくれます。

本を読むことが楽しいと思えるようになるためには、読書習慣を根気強く育てていく必要があります。本校で取り入れている朝の読書は、感想も求めず、自分の好きな(活字の)本を10分間毎日読むだけの活動です。本を読むことに慣れさせることを目的としています。本を読むことの楽しさに気付かせるための時間です。同じ本を繰り返し読みたければ読むのがいいし、いろいろな本を次々に読みたいときはそうすればいい…大切なのは、読み飛ばさず自分の力で読み通すこと。読書の楽しみを知ること。~のために読むのではなく、本を読むことを好きになってほしい、これが願いです。だから、小学生のうちは、本を集中して読むこと以外を求めずにいます。読書の魅力に気づいた子供たちは、いずれ目的のために本を読む必要があっても、そこに楽しみを探しながら読み進めていくことでしょう。活字と親密な関係を保てるようになるまで、繰り返し読むことを求めたり、無理に感想を引き出したりしない自由な読書体験をさせていたいのです。

ページをめくる音だけの静寂の時間。ここから可能性が広がっていくことでしょう!

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