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校長メッセージ

聖ドミニコ学院小学校
校長

土井 智子

聖ドミニコ学院小学校 校長 土井 智子

ランドセルから見えてきたこと 2019年4月

桜の開花宣言と共に,2019年度入学式・第1学期始業式の日を迎えました。嬉しい春の訪れです。お子様のご入学・ご進級おめでとうございます。

真新しいランドセル姿の1年生を迎えることは,学校教育に携わる者にとって大きな喜びです。また,1年生やその保護者の方々もランドセルを前にどれだけ心をウキウキさせていることでしょう。6年間の小学校生活を支えるランドセルには,特別な思い入れがあります。
本校のランドセルは学校指定となっていますから,使う子供たちも保護者の方々も満足できるものにしようと,ランドセルのプロと共に最高峰を目指しました。そのこだわりは,材質や肩ベルトの金具の工夫,かぶせ鋲などを校章にするなど,実に10項目にわたります。けれども,それだけの思い入れがあって作られているランドセルであることは,殆ど知られていません。知らせる努力をしていなかったからです。良いものであるならそれで良い,説明はいらないと考えることもできますが,伝えることをおろそかにしたことで,感謝の気持ちや物を大切にする心を育てるチャンスを逃していたことに気付きました。大量生産で作られる見栄えの良いものを,次から次に消費していくことの是非を考えさせるのであれば,その対極として買い替え無しに毎日使うランドセルを扱うことは,身近な題材として適格ではないかと思い至ったのです。

私たちは,当たり前のことと考えて伝える努力を忘れることがあります。大切だと思っていても,それを表現しないと相手に伝わらないという,当たり前のことを忘れていることがあるのです。思っている事,考えていることを伝えることで,共感することができるのに,もったいない事です。
表現力豊かな子供に育てたいのであれば,身近な出来事に対して無関心にならずに興味・関心を言葉で表現していくこと。物事に感謝する心を育てたいのであれば,一つ一つ物がどのようにして出来ているかを共に考えてみること。相手を思いやる心を育てたいとするのであれば,子供自身がとても大切な存在であることを伝えていくこと。そうした日常の中での細やかな心遣いが子供を育てる上で最も大切な事なのです。 

日々,心を新たに,大切な事は何か,それを大切にしているか,伝える努力をしているか,それらを自分自身に問い質す1年にしてまいりましょう。

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