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校長メッセージ

聖ドミニコ学院小学校
校長

土井 智子

聖ドミニコ学院小学校 校長 土井 智子

給 食 2024年7月

「ごちそうさまでした。おいしかったです。」

ランチルームを出る時の「ごちそうさま」の挨拶に、一言付け加えていく子供が多く見られます。「おいしかったです」は、聞いている側も嬉しくなる言葉です。下膳作業をしている給食スタッフが、明るい笑顔でそれに答えています。給食を楽しみにしている子供たちがたくさんいるのは、給食スタッフの「おいしく食べさせたい」という日々の努力のなせる業です。

本校が自校給食を始めたのは、今から14年前にヴェリタス館が完成し、厨房とランチルームができた時です。公立の小学校では当たり前の給食ですが、私立小学校は設置者(学校法人)が独自で行わなければならないので、ハードルは高く、自校給食を始めるにあたってたくさんの課題がありました。問題点は、運用方法、施設整備、費用、給食の内容等多岐にわたりました。学院全体で問題解決に向けて取り組み、子供たちが使いやすいランチルームとスタッフの方々が働きやすい厨房、厨房機器が用意できました。と同時に、小学校内でも解決していかなければがならない課題もありました。それは、お弁当だからドミニコ小を選んだという意見でした。お弁当も良いが、給食も良かったと思っていただけるために、どうすればよいかを考えました。学校給食に対するイメージはそれぞれです。食事の量には個人差がありますし、小さい時は「食わず嫌い」も多いものです。子供に偏食傾向がある場合、給食がネックになって学校生活がスムーズにいかないことを心配される保護者の気持ちは痛いほどわかります。学校給食は、「学校給食法」に定められた通りに運用されなければなりませんが、それでも本校独自の給食の在り方を模索しました。食は雰囲気も大切です。料理は目で見て楽しみ、香りを嗅いで楽しみ、口の中で楽しみ味わいます。ランチルームの内装はもとより、食器にもこだわりました。校章入りの陶磁器は、当たり前ですが落とすと割れます。食育を掲げていくのであれば、本物を使い大切に扱うことを日々の生活の中で教えていきたいと考えました。給食責任者も考えは同じでした。ホテルで勤務されていた経験をお持ちだったので、盛り付け方や見せ方にもこだわっていく方針でした。

今、ドミニコの給食は、子供はもちろん保護者の方々からも歓迎されています。オレンジは皮をむいてきれいに並べられるなど見た目にもおいしそうに並びます。昨年度に行った給食試食会のアンケートからも「苦手な食材も給食を通して食べられるようになった。」「各具材を小さくカットされていて食べやすく、すべての具材を子供が食べられるように工夫している。」「素材の味やその時の旬を感じるメニューなど非常にこだわりを感じた。」など、本校の給食に対して好印象を持っているのがわかります。日々、給食スタッフが努力を続けているからこその評価であり、頭が下がります。

教育の場は、子供たちのために何ができるかを考えるプロフェショナルによって支えられています。どんなに高い食育の目標を掲げたとしても、共感し共に進んでいく協力者がいなければ達成することはできません。子どもが美味しいと言って食を楽しむ姿を見たい、苦手な物でも一口食べてほしい、そんな願いを込めて日々励むからこそ、子供たちが給食の時間を楽しみにしているのです。量の少ないお皿を選んだ子供がにっこり笑いながら「今日は、残さず食べられました。」と報告に来ることがあります。「すごいね。」と声をかけてもらい嬉しそうにランチルームを出ていく子供の姿をスタッフが見送ります。「おいしかったです」と元気に発する言葉に、子供からの感謝の思いが伝わります。

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