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校長メッセージ

聖ドミニコ学院小学校 校長
森 研二

聖ドミニコ学院小学校 校長 森 研二

祈りと感謝の心を育てる11月 2025年11月

2学期が始まってから、早くも半月が経ちました。朝夕には肌寒く感じられるようになり、秋の深まりを感じます。子供たちは新しい学期の生活にも慣れ、毎日の学校生活での学びに意欲的に取り組んでいます。
 カトリック教会では、11月を「死者の月」と呼びます。111日は「諸聖人の祝日」、そして112日は「死者の日」とされ、亡くなった方のために祈りを捧げる特別な日です。私たちはこの月、天に召された方、そして世界中の魂のために祈りを捧げます。祈りは目には見えませんが、心を深く耕し、自分たちの生き方を見つめ直す大切な時間となります。
 本校では6年生が先日、修学旅行で広島を訪れ平和学習を行いました。原爆資料館の見学や被爆経験を聞く中で、命の尊さ、平和の大切さを改めて心に刻む機会となりました。死者の月にあたるこの時期に、戦争で命を落とした多くの方々に思いを馳せ、平和のために自分たちができることを考えることは、子供たちにとって大きな学びとなったようです。祈りの中で私たちは、自分の命が多くの人に支えられていることに気づき、感謝の気持ちが自然と湧いてきます。日々の生活の中で、当たり前に思えること~温かい食事、安心して眠れる場所、友達と笑い合える時間~それらがすべて、実はかけがえのない恵みであることを、祈りは教えてくれます。

「すべてのことについて感謝しなさい。これこそ、キリスト・イエスにおいて神があなたがたに望んでおられることです。」                                              (テサロニケ人への第一の手紙 5:18

この言葉は、良いことがあったときだけでなく、困難なときにも感謝の心を私たちに語りかけています。感謝の心は、私たちの視点を変え、希望を見いだす力となります。
 11月は「勤労感謝の日」もあります。本校では毎年この時期、子どもたちが学校で働いてくださっている方々に感謝の手紙を書く活動を行っています。給食を作ってくださる方、校舎を清掃してくださる方、警備員さん、スクールバスの運転手の方々など、日々の学校生活を支えてくださる方々に心を込めて感謝を伝えます。また、子どもたちが日々学びを深めている教室で、共に過ごしてくださっている先生方にも、感謝の気持ちを綴る機会となっています。
 11月という月が、祈りと感謝を通して、命の尊さや人とのつながりを改めて感じる時間となりますように。子どもたちがこの月を通して、心の中に小さな灯をともすような体験を重ねていけることを願っています。そして私たち大人もまた、子どもたちの純粋な祈りや感謝の姿に触れることで、自らの心を見つめ直し、日々の営みに新たな意味を見いだすことができるのではないでしょうか。
 祈りと感謝は、静かに心を整え、他者への思いやりを育てる力を持っています。子どもたちがこの月に感じたことを、これからの人生の中で大切に育んでいけるよう、私たちも共に歩んでまいりましょう。

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