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校長メッセージ

聖ドミニコ学院小学校
校長

土井 智子

聖ドミニコ学院小学校 校長 土井 智子

クリスマスを前に思うこと 2023年12月

10月に入っても夏日が続き、11月になっても20度を超える日があった今年は、晩秋という季節を感じられずに過ぎていたように思います。街にクリスマスソングが流れ出し、店先にクリスマスツリーが飾られるようになって、はじめて冬が訪れていたことに気付き、慌てて衣替えをしたと話していた人がいました。ウクライナでの戦争は、もうすぐ2年にもなろうとしていますが、停戦の動きは未だにはっきりとした形で表れていません。その上、イスラエルのガザ地区では居住地での戦闘が起こり、夥しい数の犠牲者を出しています。気候変動と戦争が、私たちの生活に暗い影を落としています。寛容さが失われ、自国中心、自分中心に考える風潮がますます幅を利かせるようになり、人々の不安を助長させています。

 

コロナ禍で中断していた広島への修学旅行を、今年4年ぶりに実施しました。仙台から広島まで、片道約1200km。新幹線で6時間の道のりです。6年生といえども、小学生が修学旅行で向かうには遠い地です。心配する気持ちを持ちながらも、保護者の方々は温かく子供たちを送り出してくれました。事前学習をしっかり行った6年生は、資料館を見学し、被爆体験者から直接講話を聞き、平和公園の碑巡りをする平和学習に、真剣な面持ちで臨みました。学校に戻り、グループごとにプレゼンの準備に取り掛かっています。授業参観日に、保護者の前で平和学習の成果を発表するためです。同時に6年生は、被爆体験を話してくださった講師に手紙を書いて送りました。自分たち一人ひとりが平和の担い手としてどう働いていきたいかを伝えていました。若い感性で捉えた気付きを確かな学びにつなげている内容でした。

・世界には核兵器がまだまだ存在し、戦争や紛争、内戦が絶えず起きています。平和を自ら作り出すこと、そして「昔々広島という町に原爆が落とされました」という昔話にしてはいけないことを心に留め、これからも生活していこうと思います。

・昔、様々な国がした過ちを学び、後世に伝えたり、日常生活に活かしたりすることが私たちに出来ることだと強く感じました。…平和とは普段の生活が続き笑いうち解けることだと考えることができました。

・小さな争いを生まないように工夫することなどを、これからの生活に生かしていきます。

・戦争は昔の話で自分には関係ないと思っていました…戦争は他人事ではないし、自分たちは様々な国が核兵器を持っている世界に生きているということを学びました。

 

私たちは日々の生活の中で、つい目先のことに気をとられて自分の利害を優先してしまいます。けれどもそれが争いをもたらす火種になっていることは歴史が教えています。核が使われたらどうなるか、広島や長崎がはっきりと世界に示しているのに、核を威嚇の材料として口にする指導者がいます。こうした時代に生きるからこそ、歴史に学び、真摯な態度で物事に当たる姿勢を育成してかなければなりません。クリスマスは平和を願い、祝う日です。『神はこの独り子を与えるほど、この世を愛した』(ヨハネ3-16)とあるように、救い主としてお生まれになったイエス様の誕生を祝う日です。世の中で起きていることに勝手に絶望して、投げやりになっている時間はありません。歴史を学び、平和を身の回りから作ることを共に目指すことを決意するクリスマスでありたいと思います。

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