「関わり」を通して見えること 2018年5月
4月の学校の風景は,ほほえましい場面があふれていました。学年が一つ上がるたびに,子供たちは驚くほど成長した姿を見せてくれます。
幼稚園・保育園・保育所では年長さんとして過ごしていた1年生ですが,小学校に入ると一番小さな学年として上級生に可愛がられます。先日の朝の事です。飼育小屋の前で6年生男子が,ちょっと困った声で「あんまりあげるとクロちゃん(うさぎの名前)がお腹壊すよ」と1年生に声をかけていました。二人の1年生が,雑草をとってはうさぎにあげるのが楽しいらしく飼育小屋をはなれないのです。その様子を辛抱強く見守っていた6年生でしたが,いつまでもやめないので声をかけていたのです。
こうした上級生と下級生の関わりは,ずっとつながっていくと感じた出来事がありました。ある日の夕方,職員室に高校生になった卒業生のA君から電話が入りました。「今,停電によって地下鉄がとまっています。制服を着たドミニコの小学生が困っているようなので声をかけました。」A君に,タクシーに乗せて学校まで帰らせてほしいとお願いしたところ,彼は路上に立ち,なかなか来ないタクシーを辛抱強く待ち,乗せてくれたのです。予定があったはずなのですが,時間を気にせず最後まで見守り責任を果たしてくれました。
それぞれの思いやりのある子供たちの行動を見聞きしていると,人が生きていく上で何が大切かに気付かされます。合理的に物事が進むことが推奨され,損得を考えた行動を目先が効くと考えがちな世の中にあって,自分の都合よりも相手の事を考え,相手が喜ぶために全力で行動をしているのです。関わりを持つことで,良き人間関係も構築していくのでしょう。『しなさい』と言われたからするのではなく,『しよう』と自ら考え行動することは,人が人として生きる上で最も大切な事です。
愛と慈しみのあるところ,神はそこにおられる (聖歌の歌詞より)
人としてあるべき姿の「根っこ」となる部分を育てていく学校であり続けたいと願う日々です。
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