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校長メッセージ

聖ドミニコ学院小学校
校長

土井 智子

聖ドミニコ学院小学校 校長 土井 智子

読書の時間 2019年5月

朝の読書の時間,ボランティアグループの方々が月に1度,各クラスに入り読み聞かせを行ってくださいます。4月,5年生の教室では「やさしいかいじゅう」の絵本の読み聞かせが行われていました。絵本の素晴らしいところの一つは,学年によって読み取りを深めていくことができるところです。低学年であれば,『かいじゅう』が仲良く暮らせるようになって良かったとなりますが,高学年になるとその受け取り方はちょっと違います。『かいじゅう』を見世物や武力に役立たせる方法ではうまくいかなかったが,『かいじゅう』の力を人の役に立つ方法に結び付けた時,お互いが共に幸せになったと受けとめるのです。

学校の役割は,教科学習をすることだけではなく,人が生きていく上で大切なものは何かを考えられる人に育てることにあります。子供たちに集中力をつけさせたい,自分の考えをはっきり言えるようにさせたい,考える力をつけさせたい,と親も教師も願っています。思考力を養うのは読書の習慣からと考え,本校で「朝の読書活動」を取り入れたのは1999年のことですから,今年で20年になります。20年という継続はとても意味のあることなのですが,マンネリ化の懸念がいつも付きまといます。新聞やテレビといったマスコミ,ネットの情報は子供たちの教育に必要なものを次々と提案します。見栄えの良いもの,より進んだもの,効率的なものへと魅力ある情報に接すると,今やっていることが古臭く思えてしまうのです。

けれども,100年前も現代も生まれてから言葉を覚えるまでの成長方法に変わりはありません。本を通して育まれる想像力,思い描く力,そして先人の知恵に学ぶ姿勢は,人生を豊かにします。150年前に日本政府の招きに応じて日本を訪れた欧米の指導者たちは,車夫や店の小僧,女中たちが休憩する時間に道端で本を読んでいる姿を見て驚嘆しています。当時の日本は、識字率が世界的にもかなり高水準にあり、読書は身近な存在でした。( 『逝きし世の面影』から )幸田露伴の五重塔も夏目漱石の小説も新聞に連載されていたことを考えると、当時の知的水準の高さには舌を巻きます。

読書は強制するものではない、放っておけば自然に読むようになると考える向きがあります。欲求はまず内から出てくるものでなければならないというのでしょうか。実際は本を読むことを教えなければその面白さも知らず,身につけることもできません。文学に接することで人生は豊かになります。「記された物語が自分自身の人生の物語への手がかりを与えてくれる。」と語った詩人がいます。
本を読む楽しさを知り、読書習慣が身に着くように朝の読書、読み聞かせを大切にしていきたいと考えています。

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