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校長メッセージ

聖ドミニコ学院小学校
校長

土井 智子

聖ドミニコ学院小学校 校長 土井 智子

胡桃の木 2020年11月

児童玄関のすぐそばに、1本の胡桃の木がありました。開校当時に植えられたという胡桃の木は、67年の時を経て大きく枝を張り、夏は木陰を作り、秋にはたくさんの胡桃をならしていました。この胡桃の木は、子供たちの活動も支えてくれました。授業で子供たちは、画面いっぱいに描いたり、胡桃の木を題材にして詩を書いたりしました。胡桃の実を拾って校庭の隅で石を使って割って食べたと懐かしそうに話す卒業生もいました。ある年には、この胡桃の実を拾い集めて乾かして、幼稚園のお餅つきで胡桃餅として園児を楽しませました。楽しいことばかりではありません。秋の気配を感じる頃に、外掃除の子供が木のてっぺんを見て「あの枝にある葉っぱが全部落ちるまで、落ち葉掃除が続くのか…果てしないなあ。」とため息をついたものでした。シンボルツリーのような存在の胡桃の木は、そんな子供たちのつぶやきに耳を傾け、活動を応援し、その成長を静かに見守っていたように思います。

この胡桃に木に、サルノコシカケができ始めました。「これは、漢方薬に使えるから、値打ちがあります。漢方薬のお店に売りに行ったらどうですか?」と、まじめな表情で伝えてくれた子供は、既に卒業しました。その頃は一つだけでしたがこのところ、そのサルノコシカケが2つ3つと増えてきました。外掃除の子供が、幹の皮が簡単にはがれることを見つけ「虫が喰っていますよ。」と教えてくれました。幹の一部分が空洞化している恐れがあります。学校の樹木の世話をしている園芸業者さんに相談しました。台風などで強風が吹き荒れた時が心配だという助言を受け、危険を回避するために胡桃の木を伐採することにしました。
放送朝礼で伐採することを子供たちに伝えました。家で、胡桃の木の話題にしてくれたのでしょうか、子供を迎えに来た保護者の方が「胡桃の木を切るそうですね。寂しくなりますね。写真を撮っていきますね。」と声をかけてくれました。「胡桃の木に感謝の気持ちを込めて寄せ書きを作りました。」と言った子供がいました。再生プロジェクトを提案した子供もいました。

1本の胡桃の木に寄せる思いはあふれるものがあります。命あるものであれば、いつかは終わる時が来ることは頭ではわかっていることです。ずっとあるものだと思っていたものがなくなるということは、寂しいことです。

カトリック教会では、11月を「死者の月」として亡くなった方々へのお祈りを捧げます。この世に生を受けたものであれば、いつかは別れの日を迎えます。そうであるならば、今生きていることを大切にし、今できることを誠実に行い、今言えることをしっかり伝えることを大切にして、生きていきたいものです。

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