学びについて 2021年5月
1人1台のタブレット学習が始まって3週間が経ちました。4月初めに一人ずつにiPadを渡したとき、子供たちは目を輝かせました。その嬉しそうな子供たちの姿の横で、担任や情報担当の教師は子供たち以上に満足気な表情を見せていました。配付前、子供たちがスムーズにタブレット学習が進められるように、教職員は時間をかけて1台1台丁寧に動作確認をしました。子供が喜ぶ顔を見たいという気持ちが、iPadを操作する教師の背中を押していました。
iPadを手にした子供たちは、教師の指示に従ってアプリを開き、学習の道具として利用を始めることに全く抵抗がないように見えました。物怖じせずに新しい機器に挑戦する力は、若い者が秀でています。神様から可能性を与えられている子供たちです。ICT機器の利点を生かし、活用していくことでしょう。
河野哲也氏はその著書『問う方法・考える方法』の中で、「これからはAIとインターネットが人間の情報集めと判断の基礎となる部分を担う。調べて分かる知識を覚えることに大きな意味は失われている」と述べています。これまで、知識を増やすこと、覚えることが学習の基本と考えられていました。暗記することが学習の中心になっている部分もありましたが、それだけではこれからの時代を生きていく力はつかないとしているのです。そして、「大切なのは、自分で探求する課題を見つけ、様々な分野の情報と知識を結びつけながら、自分の課題の解決を目指すような態度を身につけることだ」と続けています。「自分の探求が最終的に誰のものか、何のためのものなのか」を意識することが大切だと強調していました。
ICT機器を道具として利用する時代に生きる子供たちは、多種多様な情報を得ることができるので、何でもわかっている、何でも知っていると思ってしまうことがあります。だからこそ、人は何のために学ぶのかを問うていく必要があります。幸せに生きるために人は学びます。学ぶことで、人を助ける力をつけることができます。学ぶということは、自分の立場だけしか考えられない幼い状態からの脱却を意味します。全体を見る力をつけることで、我欲から解放され、相手のことを考える力、平和をつくり出す力を身につけていけます。
学ぶことの意味を考える機会を、一人1台のiPad導入が与えてくれたように思います。
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