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校長メッセージ

聖ドミニコ学院小学校
校長

土井 智子

聖ドミニコ学院小学校 校長 土井 智子

価値観の違いに気づいた時に 2021年9月

オリンピックが終わりました。様々な意見が交わされたオリンピックでもありました。立場の違いがあれば、考えも異なります。しかし、平和の象徴となるべきオリンピックに対して、これだけ考えの違いが出たのは稀有な出来事だったように思います。

6年生の宗教で、天声人語の記事を教材にして意見交換を行いました。記事の内容の要旨は以下のようなものです。

ネアンデルタール人の脳は、私たちの祖先と同じくらいの大きさで、身体はもっと頑丈でたくましかった。同じ時代を生きた時代もあったが、絶滅した。生命の歴史をみると生き残ったのは強者ではなく、変化に適応できる弱者だった。弱さゆえに集団生活を強め、その過程で仲間が何を考えているか想像する力を得た。強い者はその強さのために変化を望まず、多様化しにくい。

子供たちは、この記事にある「強者と弱者」に対する考え方、「多様性」の捉え方について考えました。

・ 集団で生活することはとても大事だということです。「3人寄れば文殊の知恵」のように集団で知恵を出し合って僕たちの祖先は生きていたのではないかと思いました。

・ 一人一人が異なる想像を大切にし、また生きるには平和で暮らさなければならないことを学んだ。相手が何を考えているのかを考え、毎日を過ごしていきたい。

・ 仲間と共にチームワークを深め、仲間が何を考えているのか、どういうことを想像しているのかを見極め、それを生かすことが大切だ。私は変化に適応でき、今のクラスでみんな(相手)が何を考えているかを自分の中で想像できるようになっていきたい。

私たちはそれぞれの価値観を持っています。普段の生活の中であまり意識しないこの価値観の違いが表に出てくるのは、自分の考えややり方が通らなかった時が多いといえるでしょう。それは、他国の人々に関することであったり、世代間の差であったり、時には身近な関係の中にあったりします。苛立ちを感じながら相手の行動様式を直接非難することもあれば、ネットへの書き込み、又は関わらないといった選択肢もあります。指摘しなければ、相手も自分も傷つかずに済むので、表面的な対応で価値観の違いを流すこともあります。けれども、人は互いの意見を尊重し、対話することで問題を乗り越えてきたという長い歴史があることを私たちは知っています。子供たちも、互いを理解するために、まず相手の考えを聞こうとしています。豊かな学びは互いを尊重しあった対話から生まれるといわれています。子供たちの素直な表現の前に、意見が違う時にこそ、自分の価値観が相手のそれとは違うと気付いた時こそ、私たちは互いに分かり合えるという信念をもって対峙していくことが大切だと考えました。

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