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校長メッセージ

聖ドミニコ学院小学校
校長

土井 智子

聖ドミニコ学院小学校 校長 土井 智子

そうじ 2024年6月

以前、テレビニュース番組で「掃除部」という部活動を紹介していました。掃除を部活にするという発想がなかったので、興味をもってその活動内容を見ていたところ、とにかく校内をきれいにしていこうというものでした。ブラシや鏡を使って細かいところのごみを掻き出したり、時には水泳部の要請を受けて一緒にプール掃除をしたりと、通常の清掃活動で見落としがちなところを丁寧に掃除していくのです。顧問の教師の姿は映し出されず、生徒たちが自身の活動として掃除をしている姿が印象的でした。

掃除当番は、しなければならないからするという考えが私にはありました。何事にも言えることですが、やらされていると思ってする活動はなかなか前向きな態度では臨めないものです。たとえ大変な事であっても、自分からしようと思う事柄に対しては時間を忘れて取り組めるから不思議です。汚れていたところがきれいになるのは気持ちの良いことですし、掃除が嫌いなわけではないのでしょうが、掃除当番というものは進んで行うことではないように思えていました。

 

さて、その掃除部のニュースを見てから、本校の子供たちの掃除への取り組み方が急に気になりだしました。基本的に掃除は教職員と共にやっているので、自分の持ち場の子供の様子は良く見ているのですが、他の区域を見る機会はなかなかありません。1年生が6年生について掃除当番を始めていると担任に聞いたので、教室を覗きにいきました。通常、夏休み明けから1年生の掃除当番は始めていましたが、「自分たちのことは自分たちでする」ことを願う担任は5月中旬から、6年生に教えてもらいながら掃除するようにしたのです。1年生は一生懸命6年生の指示を聞いて、机を運んだり黒板の溝を掃除したりして、掃除当番を楽しんでいる姿がありました。「喜んで」という姿勢では1年生に及ばないかもしれませんが、他の学年の子供たちの掃除に向かう姿勢も真面目でした。雑巾で棚の上を拭いたり、個人ロッカーの中身を取り出して中を拭いたり、掃除機をかけたり・・・限られた時間の中で終わらせようと協力して働く姿がありました。

 

私たち大人が思う以上に、子供たちが出来ることがたくさんあります。また、自分から進んでやろうとする気持ちを持ち、仕事としていくという使命感をもって物事に当たっています。それは掃除当番をはじめ、係活動、委員会活動、そして行事の担当など多岐にわたります。目立つ活動もありますが、大体は日常的な地味な活動です。そして、その目立たない活動に支えられているのが集団生活です。考えてみると私たちの生活は、一見雑用と見える目立たない日常の活動によって成り立っている部分が多くあります。そうした小さなことを面倒と思わず、責任感をもって前向きにとらえていくことで工夫も生まれます。自分の活動が自分の為だけではなく、他のためになっていることにも気づいていきます。周りからやってもらう存在から、自分がする存在にかわっていくのが学童期です。子供たちとの関わり合いを大切にしながら、子供たち自身が自発的に責任をもって果たす活動を大切にしていきたいと思います。

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