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校長メッセージ

聖ドミニコ学院小学校
校長

土井 智子

聖ドミニコ学院小学校 校長 土井 智子

クリスマス 2020年12月

商店街ではクリスマスソングが流れ、ショーウィンドウにはツリーやキャンドルが飾られています。いつもと同じような12月の風景が繰り広げられていますが、街ゆく人々の数はいつもより少なく感じられますし、流れている音楽とは裏腹に何となく活気がありません。「新型コロナウィルス感染症の第3波到来か」と報道されているように、陽性者数はこのところ増加傾向にあります。今年のクリスマスは、これまでの喧騒に満ちた雰囲気ではなく、静かな一日になるかもしれません。
 
イエス様が生まれた2000年前も静かな夜だったことでしょう。救い主イエス・キリストは貧しくつつましやかな場所で、なんの権威を見せることなく頼りない赤子の姿でお生まれになりました。ペトロ・ボン・エッセン氏は、小冊子「きよしこの夜」の中で私たちの質問に答えるように記しています。

時々、人はどうしてキリスト様が赤ちゃんとしてこの世に来られたのでしょうかと考えます。むしろ勢いよく恐ろしい神様として来られたならば、世の人々はもっと素直に聞いたのではないかと思いがちです。ですがこれは人間的な考え方です。…… 人は相手を抑えきれるなら都合がいいし、自分の好きなようにできるだろうと考えます。このような考え方は国際的な関係だけでなく、職場や家庭にしても同じことでしょう。……キリスト様はそのような道を拒否され、その代わり、愛の道を選ばれました。謙虚さと奉仕の道です。

今年のクリスマスは、クリスマス本来の意味を考える「時」が与えられたといってよいでしょう。キリスト教は愛の宗教といわれています。相手の立場を受け入れ、対価を求めず、その人のために行動することを「愛」とよびます。子供たちは、宗教の時間はもちろん、毎日の学校生活の中で、キリスト教の価値観を学んでいます。クリスマスを、「イエス様のご誕生と喜びをみんなでお祝いする日」「希望が世界に満ち溢れている日」「神様が救ってくださると思う日」ととらえ、クリスマスを迎える準備に入ります。
コロナ禍にあって、学校もいつもと同じようにできたことはありません。聖堂に全員で集まってお祈りすることもしていません。いろいろな不自由さを感じる日々の中で、立ち止まって考えなおすことも多くなりました。けれどもそれはマイナスなことばかりではありません。何が大切なことかを見直し、行動を振り返る時が与えられたとも考えられるからです。効率化を求めていくのではなく、本質を求めていく時が与えられ、私たちは深く考えることができます。クリスマスキャロルの主人公、スクルージおじさんのように、クリスマスの意味を考え、自分の生き方を振り返り、よりよく生きることを自分自身に課すことができれば、それはなんと嬉しい時でしょう。

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