MESSAGE

校長メッセージ

聖ドミニコ学院小学校 校長
森 研二

聖ドミニコ学院小学校 校長 森 研二

ドミニコ祭りを通して見えた子どもたちの成長 2025年10月

今年のドミニコ祭りも、子どもたちと保護者の皆さまが一体となって盛り上がる、心温まる一日となりました。校舎のあちこちに笑顔があふれ、子どもたちの創意工夫と協力の力が輝いていました。

4~6年生の子どもたちは、グループで協力しながらお店の準備を進めていました。輪投げの的の位置を工夫したり、お菓子すくいの容器を考えたりと、小さなお子さんでも楽しめるように、「どうしたらみんなに笑顔になってもらえるか」を真剣に考えました。当日も、子どもたちは自分たちで店を営み、お客様への声かけ、ルール説明、景品の渡し方など、すべてを自分たちで考え、実行していました。そして、お客様が喜んでくれることを願いながら、「いらっしゃいませ!」と元気に声をかけていました。

保護者の皆さまのご協力と、子どもたちの工夫と運営の成果として得られた収益金は、経済的な理由で学校へ通うことのできない異国の子どもたちのために寄付されます。自分たちの活動が、遠く離れた誰かの役に立つ——そのことを実感できる、貴重な機会となりました。

ドミニコ祭りは、楽しいだけでなく、「分かち合い」「奉仕」「連帯」の精神を学ぶ場でもあります。これは、聖ドミニコが大切にした「隣人を愛する」心に通じています。

「互いに愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。」(ヨハネ1334

この聖書の言葉は、祭りの中で子どもたちが示した思いやりと協力の姿を、神の愛の実践として捉えることができます。

ドミニコ祭りで見た光景の中に、私は今年5月に就任した教皇レオ14世の姿を思い浮かべました。彼はアメリカ出身で、南米ペルーにて長年、貧しい人々や移民に寄り添う活動を行ってきた人物です。教皇としての彼は、「世界の連帯や友愛の小さなパン種になりたい」という願いを持っています。ドミニコ祭りで子どもたちが体験した「分かち合い」「奉仕」「連帯」は、まさに教皇レオ14世が世界に向けて発信しているメッセージと重なります。

祭りの終わりに、ある児童が「皆、楽しく過ごせて嬉しいです。自分も楽しかったし、頑張ってよかったです」と語った言葉が印象的でした。このような気づきは、日常生活では得難い貴重なものです。教室では学べない「心の教育」が、こうして自然に育まれていることを感じます。

子どもたちの姿は、まるで小さな光のように、周囲に温かさを広げていました。その光が、世界のどこかで困難に直面している子どもたちへと届くことを願いながら、私たち大人もまた、子どもたちの純粋な心に学ばされるのです。

秋の深まりとともに、子どもたちの心にも、静かな成長の実りが訪れますように。

校長メッセージ バックナンバー